低ホスファターゼ症は歯科での早期発見が大切です。

低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia:HPP)は、アルカリホスファターゼ(ALP)という酵素が少ないため、骨にカルシウムが定着しにくく乳歯が早く抜けたり、骨が脆くなる病気の一つです。

乳幼児型や軽い症状も含めると、5万人に1人の割合で発現し、常染色体劣性遺伝で受け継がれていく、遺伝性疾患です。

日本では、「小児慢性特定疾病」「指定難病」に認定されています。

男女差や地域差はなく、日本及び世界各地から報告されており、軽症の場合は、この病気と診断されずに過ごされている方も多いと思われます。

低ホスファターゼ症の患者さんの歯は、成人の歯周病のような症状と乳歯が早いうちから抜けてしまうのですが、この原因は歯の歯根の構造的な欠陥のため、 根本的に問題を解決する方法がありません。

低フォスファターゼ症は乳歯の、特に前歯が、生え変わりでもない時期に抜け落ちてしまうことが多いです。

これは、歯の根の表面に存在するセメント質という部分に形成不全が生じて、かみ合わせの力に負けてしまうと、歯と歯を支える顎の骨をつなぐ歯根膜という繊維との間の接着が悪くなるために起こります。

治療としては、ぐらぐらしている乳歯をできるだけ長持ちさせるために、歯ぐきの状態を良好に保つ治療をします。

また、歯が抜け落ちてしまった場合は、必要に応じて、 入れ歯を作製して、永久歯が生えるまで待ちます。

小児型低ホスファターゼ症にみられる特徴的な乳歯の抜けかた

小児型低ホスファターゼ症にみられる特徴的な乳歯の抜けかた

乳歯はいずれ永久歯に生え変わるのだから虫歯や乳歯がなくても問題ない、と考える親御さんもいますが、乳歯は食べものを咬んだり発音を制御するなど直接かかわっていること以外に、その存在自体が後の永久歯列をかたち作るために間接的にとても大切な役割を果たしていることをご存知ですか?

健康なお子さんでも、5歳までに虫歯や乳歯の動揺、脱落がみられた場合はすみやかに歯科医に相談をしましょう。

また、永久歯が抜け落ちたという報告は非常に少ないです。

症状は、患者さんによって軽度から重度まで幅が大きく、発症した年齢により、

以下の6つの病型に分けられます。

  • 周産期型
  • 乳児型
  • 小児型
  • 成人型
  • 歯限局型

発症時期が早いほど臨床症状は重篤で、出生時または生後6カ月以内に発症した場合、60~70%は1歳から2歳までに死亡するといわれており、生存期間の中央値が4ヵ月であったという報告もあります。
これに対して、幼児期あるいは成人に至って発症するものは、症状が軽く状態は比較的良好な場合が多いです。

幼児期に発症したものでは,クル病様の骨変化と乳歯の早期脱落が主な臨床的特徴で、乳歯の早期脱落はかなり高い頻度で発現し、幼児型の患児の75%以上にみられるという報告があります。

従って骨疾患の顕著でないものでは,この歯科的 所見が唯一の特徴的な症状となるため,歯科医が本疾患を最初に発見することも稀では有りません。

低フォスファターゼ症の症状とは?

症状や重症度は発症時期や患者さんによって、かなり幅がありますが、重篤な場合は以下の症状があります。

まず、骨が成長できず、どんどん薄くなります。

成長障害、頭蓋骨の癒合症、肋軟骨の拡大などが引き起こされます。

肺が成長しても、肋骨が成長できないので、肺炎や呼吸困難などを起こしやすく、呼吸不全で 亡くなったり、人工呼吸器による呼吸管理が必要。

骨に沈着できず、血中、尿中に出てしまうため、高カルシウム血症、尿症を引き起こし、進行すると腎不全になります。

骨のくる病様変化、低石灰化、骨変形、
四肢短縮、頭囲の相対的拡大、狭胸郭、けいれん、
高カルシウム血症、多尿、腎尿路結石、
体重増加不良、頭蓋縫合の早期癒合、
乳歯の早期喪失、病的骨折、歯の痛み
骨痛等を認める。

低フォスファターゼ症の治療法

確立された根本的な治療法は今までありませんでしたが、ALP酵素補充療法(ストレンジック)が世界に先駆けて日本で初めて製造販売承認されました。

  • 本剤の投与により、HPP患者の生存率(投与168週時)84%、24週という早期にくる病様症状や、胸郭石灰化促進による肺機能の改善、運動能力や身体機能の改善が認められ、身体障害、疼痛の軽減によるADL、QOLの改善が可能となりました。
  • 重症型における痙攣はビタミンB6依存性である可能性が高いので、まずB6の投与を試みる。乳児型ではしばしば高カルシウム血症がみられ、これに対し、低カルシウムミルクを使用します。
  • 低フォスファターゼ症の治療は、生まれてから対応するのでは遅いので、妊娠中にみつけて確定診断し,インフォームドコンセントをとったあと,出生直後から治療できるように妊娠中から準備しなければなりません.そのために産科医の役割が非常に重要です。